こだわりの珈琲探訪#8

こだわりの珈琲探訪 by 豆樽屋珈琲

“ココ”の深煎りが飲みたい|ONSAYA COFFEE

おはようございます

こんにちは、そしてこんばんは。豆樽屋珈琲です。
今回は、JR岡山駅そばの生活感あふれる奉還町商店街にお店を構える、今年で創業16年目を迎える、自家焙煎コーヒーカフェ『ONSAYA COFFEE』をご紹介したいと思います。

閏年にあたる2008年2月29日、岡山駅西口の奉還町商店街で元”かもや洋装店”の跡地にOPENした、現在のONSAYA COFFEE奉還町本店。 この『奉還町』という名は、廃藩置県で失職した武士たちが『奉還金』を元手に商売を始めた場所からその名がついたとのこと。
昭和初期のキッシュ感が散りばめられた通りには、若者向けの店も多い注目スポットになっています。

ONSAYA COFFEE 奉還町本店

余談ですが、ONSAYAという店名は、店主・東氏がRichard Groove Holmesの “Onsaya Joy” というソウルジャズの曲名から持ってきたそうです。”Onsaya”の”ya”という日本らしさをもった音に、「音」と「茶」を組み合わせて「音茶屋」にも読みかえられる。
ここには「良い音楽が旅を誘い、コーヒーが人をつなぐ、そうした穏やかな日常を届けたい」という想いを込めたそうです。

ONSAYA COFFEE の略年図  from 当店HP

お店の周辺には、英会話教室、八百屋、土産屋、老舗呉服店など新旧織り混ざった店舗が点在していて、新人代謝の高い商店街という印象を受けました。私が今回訪問していた時には、20〜30代の若い方々もよく通行されておられたので、もう少し商店街の隅々まで散歩できていたら、彼ら彼女らのお目当てのお店をまだまだ発見できていたのかも。

奉還町商店街の西口筋側の入口

店内に入ると、もの寂しげにブルースがゆるりと流れていた。
1階から2階をつなぐ階段の途中に大きなオーディオが1台。この1台でBGMを優雅で広い店内に響き渡らせていた。
ただ不思議なことに席に着くと、その音量はちょうどよく心地よかったんですよね🎶

ソファ席やテーブル席などを配した2階席は喫煙OK

焙煎士だけは独立した存在。他には3人のサービスがおられ、みなさん非常にテキパキ。3人の間の役割分担はかなり明確で、彼らのコミュニケーションは非常に活発に行われていました。
確かに新しい注文が次々入り忙しいそうでありながら、提供までがとってもスムーズで丁寧でした。

店内で焙煎の様子を実際に見ることもできます。コーヒー豆は店主自ら足を運んで現地調達した逸品ばかり。

商店街の中にあり、店内もゆったりとした時間の流れを感じられる雰囲気。
来店される方の年齢層は幅広く、なかでも1人で来られる方が多かったですね。2人で来られていた方々もこの落ち着いた雰囲気に合わせた声量で会話を楽しんでいた印象をうけました😚
また、自由に手にとって読むことができるカルチャー系雑誌も多く配架されていたので、手ぶらで寄れる素敵なお店です。

店主・東氏は、

店主・東宏明

広島県福山市出身。
コーヒーとの出会いは小学校低学年の頃にインスタントコーヒーを飲み始めてからとなかなか早い。
当時母親がコーヒー好きで普段はインスタント、特別な時はレギュラーコーヒーってな感じで嗜んでいた(当時東氏は、ネスカフェのゴールドブレンドがお気に入りだった)。でも、この頃はブラックは飲めなくはないが渋くて泥のようでまずいと思っていたそう。飲むには、ミルク砂糖を入れていた。

中学に上がると、親友と”ジョージア”の”テイスティ”か、”フリーダム”か、”ダイドーブレンド”のどれが美味しいのか、自動販売機でコーヒーテイスティングを楽しんだ。正直それはほとんど同じような味の甘い缶コーヒーという印象で終わったようだが、この飲み比べが楽しかったのだとか。中学3年生では、親友と喫茶店にも通うになった。“UCC” “ダートコーヒー” “アートコーヒー”?そんな看板をつけた喫茶店だ。コーヒーが美味い喫茶店はブラックが美味い、そして何よりブレンドが美味い。そんな気づきがあったのだそう。

1970年代後半の「UCCカフェメルカード」 画像素材 from UCC上島珈琲

高校を中退し、尾道で働いていた頃の東氏は、仕事終わりや休みの日に海岸線沿いに構える喫茶店に立ち寄っていた。そこは自家焙煎のお店で、ブラジルサントス、キリマンジャロAAなどの名前がずらっと壁にかかっていた。色々試してみるも、まだ味の違いやその豆だからこその美味しさにはまだ理解できなかったよう。

その後、某大手のコーヒーショップでアルバイトを始める。その店ではお客さんの目の前で1杯ずつドリップで抽出し、提供するスタイル。お客さんから美味しいと言われた時の喜びや空気感、香り、同年代のスタッフ同士のコミュニケーションは、最高に心地よかったのだとか。

画像素材 from 当店HP

コーヒーの面白さにますますのめり込んでいった東氏は、その後入り直した大学も卒業した後、思い切って自分もお店を開くことを決意した。そんな時知り合いの紹介で奉還町商店街の”かもや洋装店”が閉店するという話を頂いた。
実際に足をはこんで、テナントの広さ、窓の形状、シャンデリア、一部吹き抜けの階段、鉄のパーテーションを見るがいなや、その素晴らしい内装のパーツ達に一瞬で心を鷲掴みにされてしまったらしい。
それが、今の奉還町本店の現在の店舗に至る。

そんな店主・東氏は当店ONSAYA COFFEEの焙煎担当でもある。
焙煎に関しては、オランダのギーセン、ドイツのプロバット社と並ぶ世界三大焙煎機メーカーの一つである、アメリカのデードリッヒ社製の大型焙煎機IR-5を使用されていました。

半熱風式のアメリカ製”DIEDRICH”のIR-5  画像 from 当店HP

当機では遠赤外線バーナーが使用され、クリーンで空気を汚しにくいため、コーヒーにあまりダメージを与えず、芯までしっかりと熱を伝えることが出来ます。火力の強弱も柔軟に行えるので、コーヒーの持つフレーバーを意図的に引き出す点では優れた機能性を誇る焙煎機といえますね。
しかし一方で、投入温度・フレームコントロール・エアーコントロールを誤ると焦げやすい面もあるので扱いの難しい焙煎機でもあります。

焙煎前後に、必ずカッピングを行っておられました。常に意図した味作りに欠かせない工程であることは、側から見ていてもビシビシ伝わってきました。

また、抽出については普段お客さん自身のやり方に委ねる方針を出しつつも、当店ブログでペーパードリップによる美味しい淹れ方を詳しく載せています。(詳しくはコチラから)

東氏が淹れる珈琲の味わいはどんなものなのでしょうか?

今回は店内で、シングルオリジンSUMATRA Lintong(インドネシア スマトラ・リントン)とブラウニーをセットでいただき、テイクアウトにコスタリカ ウエストバレー シンリミテスとグァテマラ ウエウエテナンゴ リベルタッド テラザス農園の珈琲豆を購入しました。

まず、 インドネシア スマトラ・リントン(深煎り)とブラウニーのセットについて。

スマトラリントン(深煎り)590円、ブラウニー450円

・インドネシア スマトラ・リントン(深煎り)
力強い印象に残る香りとハーブのようなクリアな味わいで、とても上品な一杯でした。

・ブラウニー
(オレンジの粒でも入っていたのかな?)オレンジの風味も感じる、ビターなブラウニー。当店のブラウニーはメニューとして、長く続いているそうですが、最近味のリニューアルを行ったそうです。店員さんにおすすめしてもらいました。非常に濃厚で美味しかったです。ただ、スマトラのコーヒーに引けを取らない主役感があるので、もっとミルキーなケーキの方がコーヒーに合ったかなと思いました。

続いて、コスタリカ ウエストバレー シンリミテス(中浅煎り) とグァテマラ ウエウエテナンゴ リベルタッド テラザス農園(深煎り)のコーヒーの味わいについて

コスタリカ ウエストバレー シンリミテス(100g, 972円)と グァテマラ ウエウエテナンゴ リベルタッド テラザス農園(100g, 972円)

1 コスタリカ ウエストバレー シンリミテス
店員さんから「深煎り派にもおススメ」ということで注文した一品です。
一口飲むとウエストバレー特有のオレンジ系のアシディティが口の中に広がります。
全体的にスッキリした明るい味わいであり、アールグレイのほのかに甘い余韻を感じました。
コスタリカで主流の精製処理方法の一つであるイエローハニー製法(コーヒーチェリーの果実にある粘着質を50%残したまま乾燥させる方法)のため、熟度感とクリーンな風味を両方併せ持つのが特徴。   
深煎り派には、少しコクに物足りなさを感じるかもしれませんが、スッキリした明るい飲み口のおいしいコーヒーだと思います。

2 グァテマラ ウエウエテナンゴ リベルタッド テラザス農園   
グァテマラの高地にある名産地ウエウエテナンゴ リベルタッド地区の深煎りコーヒー。
フルシティくらいの焙煎度合い、深煎りですがクリア感があり苦みをあまり感じません。
グレープ系のほどよい酸味でバランスが良く飲みやすいコーヒーです。

ちなみに当店では、コーヒーの味をわかりやすく5つのタイプ別で表現していましたよ!
(クリックしてみて!)

– Type –
0 キレのある酸味
1 爽やかな酸味とフレーバー
2 フルーティーさと甘み
3 バランスの良いコクと甘み
4 深い香味と甘みとまろやかな苦み
5 力強いボディと苦み。

また、実際に当店のコーヒーを堪能した他の方からの声も見てみると、

—Hさんのレビュー—
“ホテルを出て散歩していたら商店街でみつけたのでフラッと立ち寄りました。
先にお会計するシステム。今日のオススメをいただきました。お店の中はとても綺麗で落ち着く雰囲気。1階しかみていませんが、2階は喫茶店!という雰囲気っぽいです。コーヒーもおいしかった!お腹いっぱいだったので、スイーツなど食べられなかったのが残念。次に行く時は頼もうと思います。”

—Sさんのレビュー—
“学生さんが多く出入りしていたので騒がしいとヤダなと思いながら店内2階席へ行くとそこは静かな空間でした。オールディーズの流れるレトロな空間に皆さんまったり、グループ来店の方々も静かに話をしていました。照明もちょうど良い暗さでとても落ち着く雰囲気です。窓際には1人席も。近くなら利用したいです!!1階入口には沢山の珈琲豆と焙煎機などがズラりと並ぶ拘りの珈琲店。先にレジでオーダーし席まで運んで来てくれます。
本日の珈琲は苦さなどの好みを聞いて下さいました。アイスカフェオレ(砂糖抜き)は濃厚で美味!! ナポリタンは予想より本格的なお味◎ 沢山あるワッフルメニューからはシナモンとラムレーズンのワッフルをチョイス。これまたティータイムにピッタリな美味しさ!!
奉還町に来たらまて寄らせて頂き他のメニューも食べてみたいです。若者だけでなく熟年層でもゆっくりくつろげるお店です。”

—Oさんのレビュー
“自分が大好きなカフェと言うか、自分的には喫茶店的な利用方法。打ち合わせもできるし、ゆっくりも出来るし、待ち合わせもできるし、コーヒー美味しいし。またキノシタショウテンとは違い、庶民的な昔ながらのカフェ。場所も奉還町以外に、問屋町にもありますが、個人的には奉還町派。ここのナポリタンとピザトーストが好きです。店内のインテリアやマディーウォーターズのポスターなど、細かい小物が好みでお洒落。1階と2階があり、2階にはソファー席が沢山あり、トイレは2階のみ。ラジオの収録前に良く使わせてもらってます。オーナーさんもスタッフさんも物腰の柔らかい方が多く、客層も学生中心に幅広く居心地良いです。商店街の中なんで、雨の心配も無し。”

—Fさんのレビュー
“夜7時過ぎたら真っ暗で人通りもほとんどないような古い商店街。
そんな場所にあった古い洋品店を、雰囲気そのままに改装した喫茶店。
もう、最高の空間でした。古いオーディオからは、わりと大きめに古いジャズが流れ、これまた懐かしのナポリタンを食す。
コーヒーも、最高に拘った一杯が堪能できます。
岡山に行かれたら、ぜひ訪れてほしい店です。”

Googleレビューよりランダムに4つ抜粋

最後に

今後読者の皆さんのなかで、岡山市内へ寄る機会のある方がおられましたら、ONSAYA COFFEEで珈琲ブレイクを満喫してもらいたいものです😌それでは、店舗情報を改めて整理しておきます。

ONSAYA COFFEE 奉還町本店
住所:〒700-0026 岡山市北区奉還町2-9-1
電話:086-252-1103
営業時間:11:00〜18:00
定休日:年中無休
※営業時間帯や定休日の最新情報は、SNSをご確認ください。
駐車場:なし(お近くのコインパーキングをご利用ください)
詳細:コチラより

店内には、コーヒーにまつわる話のタネがたくさん蒔かれていました。
そんなONSAYA COFFEEのコンセプトは、『日常に溶け込んだ街のコーヒーショップ』。
コーヒーを飲む場所の文化、デザイン、歴史、そうした枝葉の元となる様々な社会問題。これらの要素を含むコーヒーカルチャーのすべてを愛しているお店だと思えるほどに。
「何気ない、それでいて街の社交場のような存在」を目指すカフェとはどんな場所なのか、きっと当店へ実際に足を運んでみることでなんとなく腑に落ちる体験ができると思います!
ここで優雅なコーヒーブレイクを過ごしてみるのはいかがですか?

こだわりの珈琲探訪では、
その一杯を求めて、出かけたくなる“をコンセプトに、記事を作っていきます。 
HOTなコーヒーとHOTなストーリーと共にHOTな時間を☺️

それでは、今回はここまで。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
またよかったら、本記事を大切な人へLINE等でシェアして今日の珈琲ブレイクを楽しんでください🎶
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