こだわりの珈琲探訪#10

こだわりの珈琲探訪 by 豆樽屋珈琲

“ココ”の深煎りが飲みたい|カフェ・ド・ランブル

おはようございます

こんにちは、そしてこんばんは。豆樽屋珈琲です。
今回は日本のハンド・メイド・ドリップのお手本とも評される「ランブルスタイル」という抽出法を確立された、東京・銀座のコーヒー店『カフェ・ド・ランブル』をご紹介したいと思います。

1948年に、故関口一郎氏が創業した『カフェ・ド・ランブル』は、コーヒー好きにとっては聖地のような場所。ここで、生のコーヒー豆を10年以上熟成させて焙煎する「オールドコーヒー」が確立されました。当店は世界中の深煎り珈琲ファンがわざわざ足を運ぶほど、間違いなく日本を代表するコーヒー専門店と言えます。

店の入口にあるオレンジ色の看板には、「珈琲だけの店」と書いてあり、珈琲に対する並々ならぬこだわりを感じました。

最初は西銀座の路地の奥でお店をオープンされた後、1970年代に現店舗の銀座8丁目に移られました。それ以来、今日まで店の改装などはせず、ほぼ同じ姿でお客さんを迎えてこられたそうです。

また古くからの常連客は、それぞれお気に入りのコーヒーを飲みながら、林氏(現店主)たちお店のスタッフと移り変わる銀座の様子などを話して、飲み終わればさっと帰っていかれるそうで、あまり長居をされないということも伺いました。

店内はカウンター8席ほど、テーブル14席ほどで全22席。

今回は私が12時の開店前に訪問した際には、フィリピンからの若い男女6人組の観光客が店の前でわいわいと記念撮影されていました。その後、開店と同時に外国人の団体やカップルなどでたちまち満員になり、外にはすでに入店待ちの列ができていましたね。

フィリピンから来たという団体客は、カフェ・ド・ランブルへ来るために銀座へ来られたようで、この店の「深煎り珈琲」はフィリピンのコーヒー好きの間でも有名なんだそうです。

上段右から2つ目、「有限会社 井上製作所」に特注した「リードミル」。ちょっとくすんだオレンジのボディが年季を物語り、当店のネルドリップ専用の電動ミルとなっています。

お店のスタッフは英語も堪能で、海外からの客への商品説明や接客をそつなくこなされておりました。
また、観光客が多いせいか、あちこちでカメラ撮影や会話が弾み、狭い店内は賑やかでした。

カフェ・ド・ランブル創業者 故関口氏は、

故 関口一郎 氏

1913年、浅草の左官職人の家に7人兄弟の長男として、生まれた。
大学受験の時、居眠りを防止するためにコーヒーを飲みはじめたことを機に、浅草、神田、銀座などの喫茶店を飲み漁るように。
この時期を皮切りに、珈琲の製法や豆の焙煎などを研究していく姿勢が徐々に形成されていったといいます。

その後の太平洋戦争の最中には、大学で音響工学を専攻していたということから、当時、後楽園にあった兵器修理班に入隊させられた。時に、その生活の中でたまたま見つけたという、米軍の供給物資の中にあったコーヒー豆を自己流で焙煎して仲間に振る舞うこともあったのだそうです。
ただ当時の豆は粗悪なものが多かったようで、どのように美味しいコーヒーを淹れることができるか。この点は当時、関口にとって頭を悩ませた大きな問題だといいます。

カフェ・ド・ランブルでは、夕方から焙煎機に火が入ります。

1945年(昭和20年)戦争が終わると、東部軍司令部の技術部隊から復員してきた関口氏は、まず差し当たって始めた仕事は映画館関係の機材を取り扱うことだったそう。この頃、応接室で取引関係者にお茶代わりに自身で作ったコーヒーで接待していたところ、そのコーヒーが非常に好評で、商談がなくとも手土産を持ってそのコーヒーを飲みにくる取引関係者もおられたとか。

しかし、あるとき突然のアクシデントでこの会社は倒産する羽目になりました。
次の仕事として、その頃は国産品のなかったスピードライト(ストロボ)の開発を手掛け、その試作を完成させるや否や、毎日新聞社発行の「カメラ毎日」の記事内で発表
されていたそうです。

そして工場の設立と前の映画館関係の機材販売の仕事の残務整理やらに追われていたころ、以前のコーヒーファンの人たちから、関口氏が長年研究してきたコーヒーのお店を開いてくれとの提案があったそうで、関口氏は事実西銀座の路地の奥でまがりなりにも1948年(昭和23年)に珈琲が愉しめるコーヒー店として、銀座に「アルカロイド飲料研究所」(※現在の「カフェ・ド・ランブル」)を開設されるのでした。

アイス用のコーヒーは、シェイカーに入れてから氷の上で転がして、急速に冷やしているそうです。

開業した頃のコーヒーは、占領米軍から流れたGIコーヒーかポンカンと呼ばれていたコーヒー豆を挽いた缶詰のものが多かったようで、当時では珍しいサイフォンで煮出したものを飲むため、多くの人で連日行列ができたいたそうです。
また、銀座で一番高い店でコーヒー1杯が90円だった当時、一杯100円でスタートした当店は、美味しいとの評判が広がり、遠くから来てくれるお客さんも徐々に増えていったのだそう。

そうしたお客さんの中には関口氏へ直接喜びや感謝を伝えられることもあり、お客さんの笑顔を目の前で見られる商売冥利に啓発された関口氏は、次の仕事を断念するご決断を下されました。

そんな当店は今や、日本に於ける自家焙煎の草分け的な存在と言えます。
南千住カフェ・バッハの田口氏、吉祥寺モカの標氏と並ぶ、珈琲業界の三羽ガラスのうちの一店と称されることもあります。

手縫いの綿ネルフィルターを使って、客の目の前で一杯ずつ抽出するスタイルは、関口さんが考案し確立したもの。今では「ランブルスタイル」と呼ばれ多くの愛好家の間で普及しています。

生豆は同じロッドや銘柄であっても、一袋ごとに違う味を示すことから、当店では良質な生豆を入手するためにテストを事前に何度も繰り返し、そこで納得できた生豆だけを採用されておられるそうです。

そして採用された生豆は、独自の半熱風式ロースターで焙煎されます。
それぞれの生豆の個性が際立つ「幅」を見極めながら、火を入れるとのこと。
このとき熱を加えることで豆の体積はますます膨張し、それで抽出の際に湯が浸透する体積が増えるんですね。

現在の焙煎室。独自に開発した焙煎機で豆を焙煎し、その後欠陥豆をハンドピックで選別されています。

カフェ・ド・ランブルの珈琲の味わいはどんなものなのでしょうか?

今回の訪問では、オールドコーヒー(ブルンジ)とシングルコーヒー(タンザニアAA)の2点を注文しました。

まずは、今回の一番のお目当てオールドビーンズ「ブルンジ(深煎り)」のシングルについてです。
ちなみにメニュー表のオールドビーンズ欄には★がついており、これは10年以上寝かせた熟成豆を意味しているそうです。

ブルンジ(深煎り、シングル) ¥1,500

ネルドリップで一滴づつ丁寧に抽出された珈琲からはしっかりと香りが立っており、酸味が少なく、甘味、苦み、香りのバランスの取れたコーヒーでした。
またコクは強く、一定期間寝かせたことにより、珈琲豆独特の風味がより強く感じやすくなっているのかもしれないと思いました。

次は、「苦味と酸味のバランスが良く、コクがあり甘味の余韻が残るコーヒー」と私が直接、林氏(現店主)へ伝えたリクエストに対してススメて頂いた、「タンザニアAA(深煎り)」について。

タンザニアAA(深煎り、シングル) ¥1,000

タンザニアAAは、甘味と心地よい苦みがバランスよく口の中で重なり合い、また甘味が強いため、濃厚ながらもスッキリとした味でサラッと飲むことができました。

ちなみにメニューには、シングルとダブルの2つの区分がありますが、

シングルが豆の量7gに対して30ml程度、ダブルが豆15gに対して50ml程度と設定されておられました。量の違いだけですが、それに伴い味わいも違ってくるため、まずはシングルを試してみることをおススメします。シングルは小さいカップで提供されるため、少し値段が高く感じるかもしれませんが、深煎り愛飲家には是非とも飲んでみてもらいたい、おすすめの一杯です!

また、実際に当店のコーヒーを堪能した他の方からの声も見てみると、

—Hさんのレビュー—
“銀座7丁目交差点近くにある珈琲特化型の老舗喫茶店です。
数年ぶりに伺いましたが、少し店内の雰囲気が変わった印象でした。テーブルには埋め込み式の灰皿がありますが全席禁煙です。今回はストレートでコロンビアスプレモをノワールでオーダー。ハイローストでしょうか、酸味が際立つ味わいで美味しくいただけました。店員さんと少しお話したところ、最近は特にインバウンド客が増えていて良くも悪くも観光地化してきているようです。その点は有名店の宿命ですね。これからも皆に愛されるお店でいてほしいです。
ご馳走さまでした。”

—Mさんのレビュー—
“珈琲のみ提供している珈琲専門店。珈琲の勉強のため来訪。13:00頃来店。店内は、2組ほどで混雑はしていなかった。70年以上やっているそうで、店内はレトロな感じ。テーブルに備え付けの灰皿は初めて見た。カフェノワールを注文。注文を受けてから、豆を挽き、ネルドリップで提供してくれる。美味しい珈琲をしっかり味わうかたちで、小ぶりのカップ。しっかり味があり、後味に残る酸味が心地良い感じで美味しかった。”

—Yさんのレビュー
“平日昼間に利用。なんと自分以外のお客さんが全員外国人観光客でした。外国の方にも人気とは。珈琲とコーヒーゼリーをいただきました。ゼリーは想像とはちょっと違うお味。練乳のようなあまさがありつつ、しっかりコーヒー感。大人のお味でまるでお酒を嗜んでいるかのような気持ちに。空間も落ち着いていてとっても素敵でした。”

—Aさんのレビュー
“入ってすぐ感じる外界とは明らか違う昭和漂う空気。
店員の会話やラジオの音が心地よく感じるほどとても落ち着いた雰囲気でした。
ブランエノワールを頂きましたが、コーヒーの苦味とミルクの甘味が丁度良くとても美味しかったです。(スイーツ的な甘味です。)コーヒーにじっくり向き合いたい人のうってつけの良い純喫茶でした。”

Googleレビューよりランダムに4つ抜粋

最後に

今後読者の皆さんのなかで、東京・銀座周辺へ寄る機会のある方がおられましたら、「カフェ・ド・ランブル」で珈琲ブレイクを満喫してもらいたいものです😌それでは、店舗情報を改めて整理しておきます。

■カフェ・ド・ランブル
住所:〒104-0061  東京都中央区銀座8-10-15
電話:03-3571-1551
E-mail:lambre@m8.dion.ne.jp
営業時間: 
平 日 12:00~21:00(ラストオーダー20:30)
日・祝 12:00~19:00(ラストオーダー18:30)
定休日:月曜日(2023年2月より当面の間) 
※営業時間帯や定休日の最新情報は、SNSをご確認ください。
駐車場:なし
詳細:コチラより

オーダーが入る度、豆を挽き、一杯ずつコーヒーを淹れ、多い日にはそれが200杯を超える。
当店の澄んだコーヒーには「品格」があり、そのコーヒーを求めて今では世界から多くのお客さんが立ち寄るように。
コーヒー1杯に込められた数々のこだわりと共に、日常の小休止としての時間を楽しめるコーヒー専門店でした。

こだわりの珈琲探訪では、
その一杯を求めて、出かけたくなる“をコンセプトに、記事を作っていきます。 
HOTなコーヒーとHOTなストーリーと共にHOTな時間を☺️

それでは、今回はここまで。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
またよかったら、本記事を大切な人へLINE等でシェアして今日の珈琲ブレイクを楽しんでください🎶
<https://mamedaruya-blog.com/tokyo1/>

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