こだわりの珈琲探訪#11

こだわりの珈琲探訪 by 豆樽屋珈琲

ココ”の深煎りが飲みたい|Philocoffea

おはようございます

こんにちは、そしてこんばんは。豆樽屋珈琲です。
今回は千葉県船橋市内に構える、2016年WORLD BREWERS CUPでアジア人初の世界チャンピオンに輝いた店主・粕谷氏が生豆の選択・買付から焙煎プロファイルの作成、品質管理まで行っているお店『Philocoffea』をご紹介したいと思います。

2017年の開業以来、日本のコーヒーシーンをリードし、いまや海外にもその名を知られる存在となった当店。生産者・消費者・従事者・コーヒーに関わるすべての人たちを豊かで幸せにすることをモットーの一つとしており、日々取り組んでおられます。

船橋シャポーの1Fにある珈琲店「PHILOCOFFEA シャポー船橋店」

味作りでは〈テイストファースト〉を大事にされておられる当店は、決まった焙煎方法や抽出方法に囚われることなく、コーヒーの種類や焙煎度も浅煎りから深煎りまでと幅広く取り扱い、そのどれもが「クリーンで後味が心地よく続く」コーヒーとなっています。

今回私は、千葉県は船橋駅構内の駅ビル「シャポー船橋南館1F」内にあるPHILOCOFFEA シャポー船橋店へ訪問しました。
JR船橋駅のシャポー口改札から徒歩30秒にある本格コーヒースタンドでした。

お店の裏には、5,6人が座れるイートインスペースがありました。木製のイートイン席は居心地が良く、またスタッフとの距離も近いため会話が弾みました。

コーヒーは全て自家焙煎。豆ごとの個性が感じられる「スペシャルティグレード」と呼ばれる最高級品質のものを取り扱っており、店頭では専任のバリスタが、お客様の好みに合わせたコーヒーを提案してくださり、コーヒーに合うお菓子などもアドバイスしてくださいます。
コーヒーの種類も豊富で店頭にたくさん並んでます。

接客も丁寧で心が入ってますし、珈琲の説明も的確で知識も豊富である事が伝わってきます。仕事ぶりも見ていて気持ちの良いものでした。

メニューの商品説明にはそのコーヒーの個性がシンプルに分かりやすく書かれていました。

店主・粕谷氏は、

粕谷哲 氏

1984年、茨城県生まれ。
小さい時からとにかく勉強が大好きで、当時抱いていた夢は“お医者さん”だったという粕谷氏。そんな粕谷氏がコーヒーに出会ったのは、2016年の世界一になるわずか3年前。
青山学院大学大学院ではファイナンスを専攻し、卒業後はベンチャー系IT企業に就職されて順調な時に自身を襲った、突然の1型糖尿病がきっかけだったという。
入院中に飲めるものを探していたところ、それがコーヒーだったとか。そして早速、道具一式買ってきて病室で淹れた一杯は、とてもまずいコーヒーが出来上がったそう。これは、もっと美味しいコーヒーを淹れたいという、バリスタへの道を歩む分岐点となった出来事だったようです。

生産者との関わりを通じて「完成された最高のコーヒーを高値で買うより、生産者と一緒に最高のコーヒーをつくりたい」という思いを再認識されたとのこと。

そして、本格的にバリスタの道に進むため、現COFFEE FACTORYに入社されます。コーヒー業界に入ってまだ半年とか1年程度の頃、カフェや喫茶店で働く人々の数に対して、バリスタ競技の人口が圧倒的に少ないということに気づき、日々のお店の経営に忙しい方が多い中で、もっともっと技術を磨くことにあえて時間をかけてみようと決心されました。
そう決めてからは、「絶対に日本一になる!」と自分に言い聞かせながら、大会に勝つにはどうすればいいか、勝つために必要なものは何か、そのことばかりを追求していくコーヒー漬けの毎日を過ごされたそうです。

それから2年後の2015年2月、エアロプレスという器具を使ったJapan Aeropress Championship 2015 で優勝。目標だった日本一になったその約1年後の2016年6月には、World Brewers Cup 2016にて日本人初の決勝進出、そしてアジア人で初めて世界チャンピオンに輝きました。

World Brewers Cup 2016の授賞式。右から三番目が、粕谷氏。

World Brewers Cup 2016の競技中、粕谷氏は審査員に対して「4対6メソッド」というプレゼンテーションを行いました。これは、使う粉の15倍の湯でそれを40%と60%に分けるという淹れ方を説明したもので、湯量の40%は味わいをコントロールするために注ぐもの、最後に注ぐ60%は、コーヒーの濃度をコントロールするためにを注ぐという考え方です。
「コーヒーは誰でも美味しく淹れられる」ということを数値で証明したプレゼンテーションは、当大会で高い評価を得たのだといいます。

YouTubeでは、実際に粕谷氏が自身で確立した「4:6メソッド」について解説した動画があげられています。

その後2017年、スペシャルティコーヒーがとても貴重な豆であることや、その価値に見合った価格について、もっと知っていただける場所として、梶真佐巳氏とともに現在の株式会社PHILOCOFFEAを設立されます。

梶真佐巳 氏(左)と粕谷哲 氏(右)

一方で、深煎りやネルドリップという日本独特の文化は、海外から見てやはり凄いものがあるという。
深煎りにするとコーヒーの個性が無くなると言われることも多い中、深煎りにしても個性が消えない焙煎メソッドを探求する粕谷氏が使用する焙煎機は、完全熱風式のローリングスマートロースター(米・北カリフォルニア州)。

当機は、焙煎のための加熱から排気の処理まで、一つのガスバーナーで行えるよう設計されているため、アフターバーナーが不要で、不快な排気や大量のCO2、余分な光熱費も発生しない点が大きな特徴といえます。
「シングルバーナー」と説明されるこの仕組みは既に特許も取得されており、多機能化・効率化、CO2排出量減少により、設備費用や燃料、環境への影響を少なくできる画期的な機能を備えた焙煎機です。

余談ですが、2018年にTim Wendelboeが導入したことで、ローリングスマートロースターはホットな話題にもなり、ここ数年で日本国内でも導入するロースターが増えています。

船橋市本町にある、PHILOCOFFEA本社兼焙煎所で全ての焙煎が行われています。

ガス圧を下げると同時に風量が弱くなり温度上昇率(RoR)も下がる、当機の仕組みを生かして、粕谷氏が日々の焙煎で実践しているのが、ガス圧を落としても温度上昇率をキープできる焙煎方法の確立であるそうです。というのも、これまでの試行錯誤を通じて、この手法こそが深煎りにしても個性が消えない焙煎を再現できることに気づいたのだといいます。

粕谷氏が焙煎した珈琲の味わいはどんなものなのでしょうか?

今回の訪問で私は、「深煎りで甘味があるコーヒー」を店員さんにリクエストすると、エチオピア グジ地区 ブク農園のハニープロセスの豆をおすすめしてもらい、実際にこちらを注文しました。
ちなみに、グジ地区というのは、エチオピアのコーヒー生産地の中でもとりわけ標高が高い地域に位置し、業界の中では高品質な豆の産地として知られている地区です。

エチオピアの豆は、その特徴である華やかな酸味とフルーティーなフレーバーが楽しめるように浅煎りで提供されることが多い中で、今回私が飲んだエチオピア グジ地区 ブク農園は、焙煎度合いはフルシティでした。

189 Ethiopia Buku Honey(深煎り、¥800)

口に含んでみると、深煎りの苦味というものをあまり感じることはなく、エチオピア特有のほどよい酸味とグループ系のジューシーな風味がしっかりと残っていました。

実際に本商品は、「浅煎りのサードウェーブ系のコーヒーを好む若いお客さんにも、飲みやすい深煎りコーヒー」と人気がある一杯ということで、当店のオンラインストアでは既にSold Out(再入荷待ち)の状態でした。

また、実際に当店のコーヒーを堪能した他の方からの声も見てみると、

—Hさんのレビュー—
“千葉ジェッツとのコラボ商品を購入しに行きました。スタンドだけだと思っていたお店の奥にイートインできる椅子があることを知りました。席が空いてなかったのでテイクアウトしましたが、次はお店で飲みたいです。
アメリカンコーヒーが好きなので浅い焙煎のものがどれかお伺いしたところ、アメリカンにしていただけました。アメリカンて薄めるのでお店ではメニューにない限り頼みにくい(と思っている)のですが、対応いただけて嬉しかったです。一杯ずつ丁寧に入れてくださるので他の方とタイミングが重なるとそこそこ待つことになるので、先に注文してからコーヒーを淹れて頂いている間に商品を選ぶのもアリだったなと思いました。ティーバッグ式のコーヒー初めてでしたが、アメリカンコーヒー作るのに最適解では?となりました。濃さを調整できるで。店頭で淹れていただいたコーヒーはもちろん美味しかったです。”

—Sさんのレビュー—
“船橋でスペシャルティコーヒーが飲めるコーヒースタンド。バリスタチャンピオンがやってて、豆の選定はこだわり感十分。豆も買える。基本コーヒースタンドだが、裏の超狭い所に4席程のカウンターとテーブル席があり、紙コップでなく、器やマグでコーヒーが頂けます。
ちょっとした秘密基地で、ドラえもんの押入れベッドに憧れていた狭い所好きの人なら、ワクワクする空間です(о´∀`о)
おやつ類の食べ物はほぼ無いし、コーヒーもスタンドで500円からと、ハードル高いですが、コーヒー好きの人がよく来てる感じです。バリスタさんは、ドリップ丁寧で一生懸命、関心します(・∀・)”

—Yさんのレビュー
“確実に美味しいコーヒーが飲める場所。お店は狭いから1人でコーヒー飲む場所として最高。
「ディップスタイル」というティーパック型コーヒーが売っていて、コーヒー好きな友達にプレゼントするのに使えるし、自宅でも楽しめる。でも、やっぱお店で淹れてくれるコーヒーが最高だと思っている。”

—Uさんのレビュー
“この店がオープンした時には、アジア人初の世界チャンピオンという点が通っていたが、今では少し高くてもおいしいコーヒーが飲みたいという時に、店内利用や豆の購入で通っている。豆に関しては別店舗の焙煎所より品数が少なく200gからになってしまうが(焙煎所は100gから)、定期的に入れ替わる品などがあり、十分に楽しめる。
豆の種類がすべて番号表記なのもおもしろい。豆を購入すると1回分のレギュラーコーヒーもおまけにつく。店内利用は本当にせまいが、個人的にはそれが秘密基地のようで楽しい。しっかりとした知識を持った店員さんも頼もしいの一言だ。”

Googleレビューよりランダムに4つ抜粋

最後に

今後読者の皆さんのなかで、千葉・船橋周辺へ寄る機会のある方がおられましたら、「Philocoffea」で珈琲ブレイクを満喫してもらいたいものです😌それでは、今回私が訪問した店舗情報を改めて整理しておきます。

Philocoffea シャポー船橋店
住所:〒273-0005 千葉県船橋市本町7-1-1 シャポー船橋南館内1階
電話:047-409-5655
営業時間:10:00-21:00 [eat in L.O.20:00]
定休日:不定休
※営業時間帯や定休日の最新情報は、SNSをご確認ください。
アクセス:JR船橋駅シャポー口改札から約30秒
詳細:コチラより

コーヒーのストーリーを伝えることは大切だと思う反面、お客さんにコーヒーのことを伝えるのは苦手だという粕谷氏。「とにかく美味しいコーヒーを提供する」ことで、飲んで美味しいと感じたお客さんの中には、もっと知りたいと思う方がいるかもしれない。そうした導線をイメージしながら、コーヒーのクオリティをつくれる農園など詳しい生産地の情報を、自身の口で、時にはメディアを通じて積極的に語るようにしているようです。
そんな粕谷氏は、今ではネスレ、ハリオなどいくつかの大企業の顧問を担っていたり、ファミマのコンビニコーヒーも監修されていたりと、フィロコフィアからスペシャルティコーヒーを攻め、大企業からマスを攻め、双方向でスペシャルティコーヒー市場を良くしていく取り組みを加速させています。

こだわりの珈琲探訪では、
その一杯を求めて、出かけたくなる“をコンセプトに、記事を作っていきます。 
HOTなコーヒーとHOTなストーリーと共にHOTな時間を☺️

それでは、今回はここまで。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
またよかったら、本記事を大切な人へLINE等でシェアして今日の珈琲ブレイクを楽しんでください🎶
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